ポン次郎の日記

2016年03月13日 14時30分

【ネタバレ感想セッション】あのハゲは何を考えてたのか

タグ: 変態教師



 この映画は序盤のシーンが全部の答えだと思う、二人しかいない練習室とフレッチャーが言ったセリフの「お前なんで叩くのをやめた?」コレだ。

 俺は最後のシーンでフレッチャーのハゲが単純にニーマンの小僧を復讐心から虐めて反撃を食らったっていうオチだという考察を最初から持っている、だがそう考えるとあのジャズバーで二人のやり取りがどうもしっくりこない、また事あるごとに俺のバンドの演奏を邪魔すなと怒鳴ってたあの男がラストのあの大舞台を犠牲にしてまで個人的な復讐に固執するかという事がどうしても疑問だ。

 だから違った見方をしてみる、つまり最後の9分の演奏でフレッチャーがやった事は復讐ではなく指導だという事だ。

 正直そうなるとフレッチャーはかなりヤバイ賭けをした事になる、だがそこに至るヒントは結構あちこちのシーンに入っている、例えばニーマンがメインになって初めての舞台で遅刻したシーン、ニーマンが交通事故に遭ってもドラムの前に座ったあのガッツとダメになった後殴りかかった反抗心だ、普通はああいう反応を受けると単に恨まれてると思って告発もアイツだろうと思ってしまいがちだが、キャリアの長い教育者ならああいう事をするヤツは告発はしないと直感的に分かるモンだ、そもそもニーマンは確かにあの時フレッチャーが憎くて殴りかかったのだろうが厳密に言うとドラムをやらせてもらえない事や叩けない自分の今の状況に憤っているだけでマジで憎くてぶち**のが真意ではない、フレッチャーに自分のドラムを認めさせたいのだ。
 フレッチャーは事故ってボロボロになりながらあそこに座ったニーマンを見てかなり驚いていた、おそらく手がボロボロになってドラムに血がつくほど練習してることくらいまではフレッチャーも想定の範囲内だったのだろうが、あんなになってもやってくる根性は想定外だったのだろう、そして退場させたら殴り掛かられた、やっと巡り会った狂人をフレッチャーがそうそう手放す気になるだろうか・・・

 もうひとつ、分かりやすいのはジャズバーでの会話のシーンだニーマンとフレッチャーが別れ際に「何故なら次のチャーリー・パーカーは決して挫けない。」と言っている、この言葉を本質的に理解していればニーマンは最早あの程度の嫌がらせでドラムを叩くのをやめない、もしかしたらフレッチャーはあのジャズバーでのやり取りの後悩みに悩んでこの言葉に賭けたんじゃないだろうか、あのバーで話してた時は本当にあのバンドのドラムが良くなくてやってくれないかなぁと思ってつい言ってしまったのだろう、多分フレッチャーにとってニーマンは初めてシンバル投げつけてきた生徒だったのだろうお互いにとって特別なのだ。
 基本的にフレッチャーは小心者だでなきゃ**た元教え子の曲を交通事故だと偽って今の教え子に聴かせてやるような事はしない、それに自分の教え子には自信を持っている、あれだけ滅茶苦茶に指導するには自身も相当な負担がかかる、実際に自分も徹夜してんだから間違いない。

 だからだ、最初は多分アレだけのガッツと反抗心を持ったニーマンが何のチャンスも無く埋もれるのは惜しいと思ったのか、過去の教え子のドラムがまた聴きたいと思ったのか何なのか分からんが、告発食らってクビになって気分が落ちてうっかり優しさを出しちまったんだろう、その後「しまった、こうじゃない!」と思ったのか「そういえばアイツには殴られてたからその分の仕返しくらいはやってやろうかな・・・」とか悪戯心を働かせたのか、とにかくあの時のエネルギーの凄さを味わったフレッチャーにはコイツは追い込めば追い込むほど化けるという確信があったんじゃないだろうか、いや確信がなくてもフレッチャーが知ってる指導はコレだけだ、指導かそれなりに良い演奏か、上出来が嫌いなフレッチャーが賭けに出るのも無理もないだろう・・・

 そんであの様だ見事にニーマンに食われた、あの舞台はニーマンとフレッチャーの練習室と化してニーマンはフレッチャーに力技で認めさせた、その為にはやめろと言ってもやめなかった、叩いて叩いて叩きまくった、フレッチャーは内心感動のあまり泣きそうになってたんじゃないだろうか、やっとだ待ちに待った最高のドラムキチガイが誕生したのだ、俺の教育者人生はコイツのおかげで報われたと・・・

 というわけでだいぶフレッチャー側にに甘い考察です。

ポン次郎

伏字ぃ・・・

2016年03月13日 14時31分